治療の目標は何でしょうか?
誰もが症状の改善、治癒をイメージするものと思います。
しかし簡単に割り切れない場合も少なくありません。
たとえば生活習慣病といわれるものがそうです。
血圧の高い人に薬を投与して正常値になったとして、それで治ったとは言えません。
食事を含めた生活の見直しが優先されます。
精神科・心療内科領域ではそういうことが多々あります。
たとえば“眠れない”と訴える方に、睡眠剤を処方して眠れるようになったとしても、治療として十分とは言えません。
先ずは不眠と関係する精神緊張・疲労を聴き、その背景として、その方がどのように仕事や人と関わっているのか知りたいと思います。
その上で、その人らしくない無理をしているなと感じたら、それとなく伝えてみる。そのことのほうがただ眠れるようになるより、意味があるのではないかと思います。
すなわち単に症状を改善するのではなく、物の捉え方、考え方、大げさに言えば生き方を見つめなおすことのほうが有意義な場合があります。
このようなことを頭の隅に置きながら、ゆったりとした治療ができればと思っています。
茂木 雄二
昭和54年 日本大学医学部 卒業
同大学附属病院にて、児童専門外来、思春期専門外来に従事
・駿河台日本大学病院精神神経科外来医長
・埼玉県立精神保健総合センター外来医長
・日本大学医学部精神神経科兼任講師(現任)を歴任
平成25年4月より、北千住メンタルクリニック院長